会場:ギャラリー イー・エム 西麻布
開期:2023年4月5日(水)〜4月23日(日)
時間:12:00~18:00(月・火曜日休館)
住所:東京都港区西麻布4-17-10
電話:03-3407-5075
僕は坪田譲治や宮沢賢治の童話が好きで、そこに登場する子供たちは、自然の中にある木造校舎で学んでいると想像し、憧憬の念を抱いていました。初めて木造校舎に足を踏み入れた時、包み込まれるようなぬくもりを感じ、子供たちはいきいきと学び、遊んでいる姿は輝いていました。そして、校舎はみんなとてもきれいでした。廊下は鏡のようにピカピカしていて、階段の手すりにはつやがあり、つかむと安心感があります。長い年月をかけてなじんできたのでしょう。子供たちそして、先生方は、それらを大事にしてきたのだと思います。
撮影した当時は、スマホを持っている子供はいません、パソコンもありません。僕の車にはカーナビもありませんでしたから、学校にたどり着くのも大変でした。だけど、そこに着いたときには大きな喜びを感じました。またデジタルカメラではなくフィルムでの撮影ですから、快活に動き回る子供たちにピントや露出を合わせるのも大変でした。それから時がたち、私たちは多くの便利なものや快適なものを手に入れたと思います。しかし多くの不便だけれど楽しいもの、そして大切なものを失ったように感じます。僕は幸運です、なぜならばそれらを失う前に体験することが出来たのですから。だからこそ、それらを体験していない人たちに伝えたい、それらを体験した人たちには、いまいちどその時のことを思い出してもらいたい。そして木造校舎の子供たちのように多くの笑顔があふれる世界になって欲しいと願っています。